Case Studies
精神分析など治療家として述べ30年以上、嘱託産業医として11年の経験を持ち、
加えて2023年より労働衛生コンサルタントとして、多くの企業でメンタルヘルス対策と人事のマネジメント支援を実施してきました。
事例1:メンタルヘルス不調による休職事例
従来型の課題:メンタル休職者の復帰場面において、「本人が強く復帰を望み」、主治医の「復帰可の診断書」があり、職場も復帰を望んでいる状況。前任産業医に「復帰可否判定」の面接依頼があり、内心は相当に「時期尚早」と思われても「復帰可」と判定。結果的に、6ヶ月たっても「軽減業務・試し出勤などの配慮」が解除できず、業務遂行レベル5割程度な上に、同僚や上司の高負荷が持続していることで人間関係も悪化し、本人もプレッシャーにより再発し、以来、再療養をくり返している。 (追い込まれて自殺するケース、制度を悪用するケースさえある。)
仕組み導入:休職開始時から産業医が関わり、人事より復帰までのロードマップと進捗状況を確認する書式の説明をする。とくに、「復帰基準」につき十分に理解させる。その上で、自然療法の観点から「如何に効率的に回復するか?」という生活指導、「再発防止策」のための課題を指導。
成果:平均6ヶ月内(ケースにより1年以上もあり)で戦力となれるレベルまで回復してから復帰し、事業所の従来の再療養率約40%以上が5%以下になった。
事例2:健診判定で高リスク社員への対応事例
1.大型ドライバー、血圧250/150の事例: 「要休業」の判定をし、「解除の条件」には受診し、データの改善と主治医の就労可の記載が必要」と指示。事業者としては、大災害や膨大な損害を免れたと考えられる。
2.肝機能の数値の一部が500以上の社員に担当者が2次受診を指示しても拒んでいたケース:独自の書式を用いて、受診指示の判定を行った上で、人事権のある管理職による個別面接で、「安全配慮義務の観点より、万一、受診して頂けない場合は、やむなく就業制限・休業等を検討せざるを得ない」と説明、指導したところ、長年手を焼いていた社員が、スムーズに受診し、治療開始後、数値も改善し通常勤務が継続できている。
成果:いずれのケースとも、健診マネジメントが自律化し、2次受診率100%となることで、「自分の健康に責任を持つ風潮」が生まれ、有所見率は年々減少している。
事例3:小売業の巡視と5S
課題:大手スーパーの各店舗の巡視の際に、5Sが非常に良好な事業所とそうでない事業所があった。
アプローチ:後者において、5Sや3定(定位・定品・定量)を徹底する事で、「職場が快適になるだけでなく、転倒・転落・腰痛などの災害が有意に軽減し、生産性が上がる」という(経産省のデータに基づく)指導や研修を継続した。
成果:徐々に5Sレベルが上がり、労災防止、快適職場が実現した事例。
事例4:運送業の倉庫内業務の巡視における区分
課題:送業の庫内作業や工場内外の巡視で、通路やスペースを区分するラインテープや塗料が剥がれて見えにくくなっているケースが散見された。
アプローチ:巡視で確認し指摘することで、次の訪問時には対応済みとなるケースが多い。
成果:人とフォークリフトの出会い頭のヒヤリハットが軽減し、動線が明確になることで作業効率が向上したと評価を頂いた。
事例5:事務所の衛生管理
課題:オフィスで、床のケーブル類が整理できていなかった。
アプローチ:快適職場、転倒防止の観点から、モール(カバー)や 結束バンドなどで整理してもらった。私物の整理や掲示物の更新、腰痛対策として「情報機器作業の健康管理」の講話を実施し、椅子の高さや適宜、休憩を取ることなど、指導をくり返した。
成果:その後の意識調査より「職場が快適になった」という意見が多数あった。
事例6:製造業での手指前腕の障害への対応
課題:樹脂製袋の製造工場の検品・仕分け作業に従事する女性労働者の多くに、手指前腕の痛みやコリの訴えが多い事への対応を求められた。巡視したところ、作業場の照度・室温・作業スペース・作業台の高さ・床面等の作業環境に課題が認められた。
アプローチ:作業環境管理の改善を指導するとともに、作業管理として、午前午後10分間の休憩時間を2時間ごと10分に増やす事、更に所属していた労働衛生機関に運動指導士を依頼し、作業場での準備運動やストレッチを導入。エルゴノミクス的なアプローチも推奨した。
成果:自覚症状の訴えが激減した。
事例7:有機溶剤の作業環境管理
課題:自動車部品の製造業にて、トルエンによる洗浄部門の従業員数名のうち1人が尿中馬尿酸が3g/L=分布3とのことで対応を尋ねられた。
アプローチ:過去の結果は2や3で、他部署異動時の数年間は1。巡視したところ、臭いがきつかったので、外付け式フード(側方吸引)の局排の制御風速、ダクトやファンの点検結果の確認を指示したところ異常なし。面接にて以下確認。他の作業者は分布1だが、当該社員が、業務時間・取り扱い量・作業場所に違いなし。プライベートでのトルエン使用の趣味や安息香酸の摂取なし。着用や吸収缶の交換もマニュアル通り。頬がこけた痩せ型。以上より、本人のマスク着用状態が不良の可能性が少なくないと考え、フィットテストや再教育を勧奨。
成果:対策実施後、分布1が続いている。
事例8:メンタルヘルスケア導入
課題:メンタルヘルスの問題による休職者が多く、生産性が低下していた。
アプローチ:メンタルヘルスケアプログラムの導入と、社員への教育・トレーニングを実施。
成果:休職者数が50%減少し、職場の生産性が大幅に向上。社員の健康意識も高まり、職場全体の雰囲気が改善された。
事例9:健康ハイリスク者の管理
課題:健康リスクの高い社員が多く、管理が難しい状況にあった。
アプローチ:定期健診の結果を基に、個別の健康管理プランを策定。リスクの高い社員には特別なサポートを提供。
成果:健康リスクの高い社員の健康状態が改善し、全体の健康意識が向上。結果として、労働生産性の向上と離職率の低下に繋がった。